【3】 税理士への不満にはどのようなものがあるのか?

 【1】、【2】では、総論的・概念的なものを述べました。これらをふまえ、今度は、それを現場レベルにて考察してみたいと思います。それには、何よりも「税理士への不満」として、実際税理士に仕事を依頼した事がある方々のご意見を見てみるのが一番の材料であると思います。巷間言われております不満には以下の様なものがあります。

 @ 税理士の態度が横柄である。

 A 税理士が全く顔を出さない。

 B 質問に対して答えが返ってこない。または、遅い。

 C 専門用語を多用する為、説明がわかりにくい。

 D 単なる事務作業の代行しかせず、何の提案もない。

上記の5つ以外にも様々なものがあるかと思いますが、ここでは、これらに絞って考えてみたいと思います。「サービス精神」「サービスの量」「サービスの質」という3つの視点で各項目を検証してみたいと思います。

@ 税理士の態度が横柄である。

 これは、「サービス精神」「サービスの量」「サービスの質」のどれかという以前の問題です。しいていえば「サービス精神」に属する項目ではあるかと思いますが、それ以前に人としてどうかというレベルの話になります。この様な場合には、お客様と税理士の間で、十分なコミュニケーションをとれるはずもありませんので、信頼関係を構築するのはまず無理であるといえます。結果として、税務処理に必要な情報の伝達が不十分である事によるミスが発生しやすくなるということが出来ます。

A 所長税理士が全く顔を出さない。

 これは、主に「サービスの量の欠如」に該当します。お客様は、「税理士の専門知識」に期待して、お仕事を依頼されているはずです。ところが、【2】で述べました通り、一般的には業務の大部分を「担当者と呼ばれる事務所職員」が行います。よく解釈すれば、「優秀な職員を担当者にしたので、まかせきりにしても全く問題はない。」という内部的な信頼関係が構築されているのかもしれません。しかし、お客様は「税理士」である所長の力量に期待して仕事を依頼したのであり、「担当者」の力量に期待してその事務所を選んだ訳ではありません。やはり、所長との直接のコミュニケーションをとる機会が多ければ多いほど望ましいと言う事が出来ます。

B 質問に対して答えが返ってこない。または、遅い。

 これは、「サービスの質」に問題があると思います。例えば、担当者及び所長税理士が頻繁にお客様を訪問しているとしましょう。この時は、「サービスの量(コミュニケーションの頻度)」は満たされていますが、やはり不満が発生します。【2】で述べたとおり、税理士事務所の職員は、「税理士クラスの専門知識を有している」方から「経理の入門者クラスの知識しかない」方まで、さまざまな方が働いています。やはりここで、問題となるのが、当然のことながら、「知識が少ない職員が担当者になってしまった。」場合です。当然、質問に対して、直接答えたり調べたりするのは難しいかと思いますので、 所長や他の職員に聞く、あるいは税務署に聞く(現在、税理士事務所が電話で税務署に質問するという事は出来なくなりました。)という方法が取られますが、ここに問題点が発生します。「お客様の質問事項の論点が何であるかが理解でき、それを自分の言葉でをきちんと伝えることができるのか?」という事です。「伝言ゲーム」ではありませんが、情報を正確に伝達する事は、非常に難しく、まして知識が乏しい場合にはまず不可能であると考えられます。もし、伝達が成功したとしても、所長税理士のレベルによっては答えを導くことができないケースも発生します。あまりにひどいようであれば、お客様の取るべき選択肢は1つに限られます。

C 専門用語を多用する為、説明がわかりにくい。

 この場合は、「サービス精神」に問題があるといえます。「訪問の回数が多く(サービスの量はクリアしている)、専門知識も有して(サービスの質の基本はある)いて、一生懸命説明してくれるが、何を言っているのかさっぱり分からない。」というケースが代表的かと思います。専門家は日常的に「専門用語」を使っていますが、その業界にいらっしゃらない方々には当然「専門用語」が何を意味しているのか理解に苦しむ事があると思います。「専門用語」は、複数の意味を包含しているものもあり、非常に便利なものであります。しかし、それは同業の方同士でのみ使用されるべきものであり、お客様に対しては、なるべく「専門用語」を使わず、それらをかみくだいてわかりやすく説明することが必要であります。これは、まさしく「サービス精神」というものを如実に表しているものだと思います。

D 単なる事務作業の代行しかせず、何の提案もない。

 これは、まさしく「サービスの質」そのものといってよいでしょう。とても重要な事を意味する貴重なご意見であり、@〜Cと次元の違う話になります。なぜなら、これこそが「税理士の専門家としての真価」が問われるものあるからです。具体的に例を挙げてみますと、仕事を依頼した税理士事務所が次の様であったと仮定します。

 @ 所長の人柄は良い。(@はクリアしている。)

 A よく顔を出してくれる。(Aもクリアしている。)

 B 豊富な専門知識があり、的確な答えが迅速に返ってくる。(Bもクリアしている。)

 C 説明がとてもわかりやすい。(Cもクリアしている。)

上記のCつをすべて満たしている為、満足度は高い数値となる事が期待されます。しかし、皆様によく考えて頂きたいのですが、@〜Cについては、サービス業を前提とした場合、ある意味当たり前の事ではないでしょうか?ここで、Dを絡めて考えてみましょう。Dで問題となっているのは「事後処理のみ」で「事前提案がない」という事です。現在は、素晴らしい税務・会計ソフトがあり、基本的には、「事後処理」の作業は誰でも出来ます。すなわち、「事後処理という観点で@〜Cをすべてクリアしていても不満が発生する。という事です。お客様の求めているものは「待っているばかりの守り重視の税理士ではなく、積極的に攻める(コンサルティングをする)ことのできる税理士」であるという事が出来ます。これを行う実際に行う為にはシミュレーションを多用し、積極的に判断材料をご提供する。という事が必要になります。まさしく、専門家の腕の見せ所となります。