【2】 サービスの「量」と「質」について

 どのような仕事でも、「量」「質」の組み合わせで評価されます。もちろん、税理士事務所の評価もご多分に洩れず同じように評価されます。また、両者に影響を与えるものとして「サービス精神」があげられると思います。高いサービス精神があれば、良いサービス(質)を豊富にご提供(量)できるという事もありますし、逆もまた成り立ちます。この「サービス精神」は、その名の通り、「精神面」であるため、ある意味「人格・性格」という部分に属すると思います。よって、ここでは検討対象からはずし、この部分以外の、「量」「質」について見ていきたいと思います。

@ サービスの「量」について

 代表例としては、「訪問の頻度」「アドバイスの回数」などであらわされるのがこの「サービスの量」です。これは、ある意味物理的・客観的に判断が出来る為、非常にわかりやすい尺度で捉えることが出来ます。「自分でほとんどの事(経理処理など)ができるから、申告書をつくる時だけのお付き合いで良いし、アドバイスも最低限で良い」とお考えのお客様は、量を求めていない(質も連動します)という事になりますので、最終的には税理士への報酬額の多寡のみが評価のポイントとなります。

A サービスの「質」について

 これは「単純に税金を計算する以外にどれだけのプラスアルファをご提供できるか?」という事になりますが、これは、@と違い、物理的・客観的に判断しにくいものとなります。「質」の良し悪しを決める基となるのが、「専門知識の有無」という事になります。更に区分すると、「税理士」「スタッフ」それぞれについて専門知識の有無が問われる事となります。順に見ていきましょう。

<1> スタッフについて

 一般論として、お客様と一番接するのも、また、依頼された業務を処理するのも「担当者」とよばれる事務所のスタッフが行うケースが多いと思われます。スタッフには、「税理士又は税理士クラスの知識を有するスタッフ」から「経理の入門者レベルのスタッフ」まで幅広く勤務してます。ここで、問題となるのが、当然の事ながら後者のスタッフにあたってしまった場合です。「この経理処理はどうなの?」「税金面でもっと有利な選択はないの?」などの様々な質問に対し、「所長に聞いてきます。」や「調べてみます。」と言ったきり、何の返事もないという事も多々あるのではないでしょうか?
 もちろん、私にもそのような時期がありました。この場を借りて謝罪をしたいと思いますが、税理士事務所のスタッフは誰しもこの様な道を通っているはずです。「何とか答えをお伝えしたいが、調べ方がわからない。また、論点が何であるかをうまく整理出来ない為、所長や先輩にもうまく質問が出来ない。」という苦い経験です。
 スタッフは八方塞がりでどうしようもありませんし、当然お客様はモヤモヤが解消されません。解決策としては、「担当者を替えてもらう」「所長に直接聞く」のどちらかしかありません。ここで、所長の答えが返ってこないようであれば、結果として、「税理士事務所を変更する」しか方法はありません。

<2> 税理士について

 税理士は全国で約7万人います。税理士になる方法は何通りかあり、また試験制度も特色があるので、「勉強した事がない税法(税金の法律)がある」という税理士が存在しているのが実状であると考えられます。これについては、業界上問題になっていることも多いので、触れることは避けますが、これ以外の重要な点について2つ掲げてみます。

  A.毎年、税制改正がある。また、税法以外に必要となる周辺知識が多数ある。
  B.発生頻度は低いが、実務上とても重要な仕事を1度でもやった事があるか。

 まず、ですが、簡単に申しますと、勉強熱心でないとついていけないという事です。これは本人の努力次第といえます。問題は、です。業界として巷間言われているのが、「資産税(相続・贈与・譲渡)」を一度もやった事がない税理士が多くいるという事です。 「ウチの先生に相続の相談をしたら、ゴニョゴニョいって逃げられてしまった。」という話を聞いたことがありますが、まさしくこれがその代表例です。

 資産税は、特化している事務所を除き、通常あまり発生しない業務といえます。また、仮に発生したとしても、スタッフにその仕事が回ってくるケースは少なく、所長が処理してしまいます。その為、スタッフとして勤めている間に資産税の経験をすることなく、独立する税理士が当然出てきてしまうのはやむを得ない事であると言えます。

 しかし、ここで、先ほど掲げた税理士の特殊性の中の更なる特殊性が論点として挙がってきます。それは、「税金はさまざまな種類があるが、それらは相互に密接に結びついている。」という点です。即ち、「1つの税目での処理が別の税目に影響を与えるケースが多々発生する」という事です。という事は、上記のケースでは、商売としてこう処理したが、それが資産税的にはどのように影響を与えるのか?」という点についてアドバイスが出来ないという結果となってしまいます。これは、「片手落ち」というレベルの話ではなく、非常に怖いことであります。もちろん、税法は広く深い為、そのすべてに完璧に精通している人はいないと思います。しかし、特に実務上重要性の高いものについては、机上の知識のみでだけはなく、実際に経験をしている事はとても大切な事であります。実務はテキストに書いてあることがそのままあてはまるというケースは少なく、実際に事が発生してから、さあどうしたものかとなることが多いからです。